日本のライブコマース成功事例18選一覧!企業のPR活用戦略と効果

ライブコマースは商品を売るための手法ではなく、企業と顧客の間に理解と信頼をつくる接点です。日本では百貨店、メーカー、アパレル、地方産品ブランドなど、幅広い企業がライブコマースを活用して成果を上げています。

従来の広告やSNS投稿では伝えきれなかった情報をリアルタイムで伝えられるのは、ライブコマースの大きな魅力です。視聴者は質問しながら理解を深め、企業はその反応を次の施策に生かせます。双方向コミュニケーションの有用性に注目している日本企業も少なくありません。

そこで今回は、日本のライブコマース成功事例18選を業界別に紹介し、成功した理由を実務視点で整理します。失敗しにくい配信方法や成功例に共通するポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ライブコマースとは

ライブコマースとは、リアルタイム配信を通じて商品やサービスを紹介し、視聴者と双方向コミュニケーションを取りながら理解と購買を促す手法です。

事前に編集された動画や静的な商品ページと異なり、その場で質問に答え、反応を見ながら説明内容を調整できます。視聴者は説明を受けながら商品を選ぶ体験ができ、企業側は一方通行にならないPRの設計が可能です。

SNS投稿や短尺動画では伝えきれない情報の補完手段としても注目されています。商品の使い方や注意点も丁寧に伝えられるため、比較検討が求められる商品・サービスとの相性は悪くありません。

日本企業におけるライブコマースの位置づけ

日本企業におけるライブコマースはECの販売チャネルとしてだけではなく、ブランドの理解促進と双方向コミュニケーション強化にも活用されています。

位置づけの背景と市場動向を詳しく見ていきましょう。

販売目的だけでなくPR手法として注目

日本では、体験を設計するメディアとして位置づけられているのが現状です。

即時販売ではなく、理解促進や信頼形成を目的としているケースが少なくありません。店舗接客や対面説明が強い業界ほど、ライブ配信をその代替・拡張手段として使う傾向があります。

海外のライブコマースはEC売上拡大手法として語られますが、日本では少し異なる文脈で活用が広がっていると考えていいでしょう。

ライブコマースの市場規模と現状

2023年時点における日本のライブコマース市場規模は、約3,000億円弱と推定されています。2020年頃の数百億円規模から急成長を遂げている言っていいでしょう。成長の要因はEC市場全体の拡大と、オンライン購買行動の変化にあります。

スマートフォンの浸透やSNS連携の進展といったデジタルコンテンツの増加も、市場規模拡大要因です。

日本と中国・米国などの海外主要市場と比較すると、ライブコマースの普及率や市場規模には差が見られます。たとえば、オンラインショッピングやインフルエンサー主導のライブコマースが浸透している中国は、数十兆円規模の巨大市場となっています。

日本におけるライブコマース市場は拡大基調にありますが、成熟段階には達していません。日本は消費者のショッピング行動や認知度において伸びしろがある段階です。

MMD研究所の「ライブコマースに関する利用実態調査」によると、2021年時点で視聴経験者が約12.7%、認知率が約43.2%と、ライブ配信によるショッピングをしていない消費者が多くなっています。

ただし、視聴後の購入方法では、視聴者の約半数がそのままECサイトで購入し、約4割が実店舗で購入しています。ライブ配信が購買行動の要素として作用しているのは間違いありません。

日本のライブコマース成功事例18選

ここからは、日本企業のライブコマース活用事例や成果を詳しく紹介していきます。

アパレル・ファッション系
化粧品・美容系
雑貨・インテリア系
ECモール・プラットフォーム
百貨店・商品紹介系
食品・地方産品

上記の業界別に詳しく紹介していきますので、これからライブコマースに取り組みたいと考えている企業や担当者の方もぜひ参考にしてください。

アパレル・ファッション系の成功事例3選

アパレル・ファッション業界は、サイズ感や着用イメージ、コーディネート提案など、実物を見ないと判断しづらい要素が多い分野です。商品説明を超えて印象や選び方などを伝える手段としても活用されています。

成功事例は下記の3企業を紹介します。

・UNIQLO
・AOKI
・ABC-MART GRAND STAGE×NIKE

それぞれ詳しく見ていきましょう。

UNIQLO

UNIQLOは、独自のライブコマースプラットフォーム「UNIQLO LIVE STATION」を長期的に運用し、ブランド体験の深化と双方向コミュニケーションの強化を実現しています。

L新作紹介やコーディネート提案だけではなく、視聴者からの質問にスタッフがリアルタイムで応えているのも特徴です。店頭接客に近い体験を提供しているのも好評の要因と考えていいでしょう。

サイズ感や着こなしの相談ができるのは、消費者にとって大きなメリットです。購入前の不安解消にもつながるため、検討期間の短縮も期待されます。

年間視聴者数は1000万人を突破するなど、ブランドの接触機会創出に成功している点にも注目です。継続的な視聴・購買意欲の向上効果も見られます。

AOKI

AOKIは、主にInstagram Liveを活用したライブコマース形式の配信を行っています。「秋の新作コーデ」のようなテーマでインスタライブ配信し、スタッフや出演者がアイテム選びのポイントを解説しているのが特徴です。

新作コーディネートや着こなしの提案なども共有しています。コメントを受け付けながら進行するスタイルは、既存フォロワーとの関係を強化しながらブランド理解を深める優れた施策です。

販売数よりもブランドコミュニケーションの場としてライブ配信を活用し、視聴者の関心を引き出す設計も見て取れます。

ABC-MART GRAND STAGE×NIKE

ABC-MARTは、NIKEとのコラボレーション企画でライブ配信を活用し、インタラクティブ性の高い購入体験を実現しました。

パロニムが提供する「TIG LIVE」等のインタラクティブ・ライブ配信技術を使用。紹介されたアイテムは画面をタップして購入導線に遷移できる仕組みも採用しています。

視聴者は配信中に興味のあるアイテムを記録し、シームレスに購買行動へつなげられる体験が実現しました。

この事例は配信と購買導線を自然に結びつける体験設計として評価できます。ブランドコラボの企画がファン層の興味を引き出し、オンラインで新しい接触機会を確保した好例です。

化粧品・美容系の成功事例3選

化粧品・美容カテゴリは、顧客の使用感や選び方に対する不安が購買障壁になります。ライブコマースとの相性は良い業界です。成功事例は下記の3企業を紹介します。

・FANCL LIVE SHOPPING
・SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE
・ジョンマスターオーガニック

それぞれ詳しく見ていきましょう。

FANCL LIVE SHOPPING

FANCLは公式サイト内にライブ配信機能「FANCL LIVE」を設け、視聴者とコミュニケーションを図りながら商品を紹介しています。

スキンケアの基本解説も含めた美容に関する情報提供を軸に構成され、視聴者からの質問にその場で答える形式で進行します。

ECサイトへの導線もスムーズです。視聴者は専門スタッフのコメントをリアルタイムで聞きながら、悩みに適した製品を具体的に検討できます。

化粧品には不可欠な「用者自身の納得感」をライブ配信で補完した好例と言えるでしょう。購買ファネル初期の不安を軽減しているのも特徴です。

SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE

SHISEIDOは、公式オンラインストアでライブ配信を活用した「Beauty Night」等のイベントを実施しています。

プロのメイクアップアーティストや美容の専門家が出演し、ブランド体験と商品理解を深めているのが特徴です。季節のトレンドメイクとスキンケアのアドバイスみ提供しながら視聴者の関心を引き出しています。

視聴者は配信を通じて使い方や色選びのポイント、悩み別のアプローチといった説明を受けられるため、商品に対する理解が深まります。

ブランドの価値や世界観を感じられるのもメリットです。SHISEIDOのライブ配信は、ブランドロイヤルティの強化につながる施策と言えます。

ジョンマスターオーガニック

ジョンマスターオーガニックは、公式サイト内にライブ配信ポータルを設け、双方向コミュニケーション機能を活用したライブショッピングを展開しています。製品の原材料や使用方法、組み合わせ提案など、オーガニック製品特有の価値を伝えているのが特徴です。

製品理解を深めながらライフスタイルに落とし込みやすい仕組みになっており、購入後の満足度向上につながる体験を提供しています。

視聴者からの質問には現場のスタッフがリアルタイムで答え、オーガニック製品への納得感を高めている点にも注目です。視聴者のライフスタイルに寄り添い、専門家の解説を交えながら疑問を解消する体験設計の好例と言えます。

雑貨・インテリア系の成功事例4選

雑貨・インテリアは、空間提案や使い方のイメージが購買判断に直結しやすい業界です。

成功事例は下記の4企業を紹介します。

・無印良品
・ニトリネット
・カインズ
・古川紙工公式オンラインショップ

それぞれ詳しく見ていきましょう。

無印良品

無印良品が過去に展開していたのは、スタッフが季節のおすすめ商品やコーディネートをリアルタイムで紹介するライブ配信です。配信中はチャットで質問でき、スタッフの回答を受けながら商品を理解できます。

配信には購入リンクも設置されており、ライブ視聴中にそのまま購入につなげる導線が整っていました。このような体験型配信は、オンラインでありながらスタッフの接客に近い感覚で商品認知の機会を提供します。

ニトリネット

ニトリネットで行われているライブ配信は 「ニトリLIVE」 です。家具・収納用品・生活雑貨などをリアルタイムで紹介しています。視聴者はライブを見ながらコメントで質問できるほか、気になった商品をその場で購入できる機能も備わっています。

コミュニケーションが他視聴者との交流にも及ぶなど、オンラインでも店舗にいるような買い物体験を提供している双方向性の高い配信です。

この事例のポイントは、購入可能な導線とリアルタイムの対話にあります。視聴者の選択肢を広げつつ、顧客の疑問を即時解消する体験の設計はライブ配信ならではと言えるでしょう。

カインズ

カインズでは、Webと連動した「カインズデザイン展」を期間限定で実施していました。リビングやキッチン用品などの使い方をライブ配信で紹介し、購買へとつなげていたのが特徴です。配信中に寄せられた悩みに応じてヘアケア用品も紹介していました。

カインズのライブ配信は、日常の課題を解決する提案型コンテンツとして機能した好例です。商品の機能性だけでなく、暮らしに取り入れるアイデアも示す双方向コミュニケーションを軸に、生活シーンへの落とし込んで購買率を高めていました。

古川紙工公式オンラインショップ

古川紙工の公式オンラインショップでは、新商品紹介のライブコマース配信をしていました。

コメントを通じてスタッフと気軽にコミュニケーションでき、店舗に行ったような雰囲気でショッピングを楽しめたので特徴です。

オンライン限定の視聴者特典付き商品を用意するなど、特別感を演出していた点も注目に値するでしょう。

ECモール・プラットフォーム成功事例2選

ECモールやプラットフォーム自体が提供する機能を活用すれば、出店者の集客・販売力を無理なく高められます。モール・プラットフォーム視点で成功した2企業を見ていきましょう。

・楽天ライブ
・LIVEBUY

それぞれ詳しく解説します。

楽天ライブ

楽天市場には、出店者がリアルタイムで商品を紹介・販売できる「ライブコマース機能」があります。

配信中は視聴者がコメントで質問したり、配信者と直接コミュニケーションを取ったりしながら商品説明を受けられるのが特徴です。画面上から商品詳細や購入ページへ遷移できる仕組みも備えています。

静的な商品ページを閲覧する購買導線とは異なり、放送的に説明されながら即購入アクションへつなげられるのは大きなメリットです。楽天市場のイベントと連動させれば、ポイントキャンペーンやクーポン配布と合わせてライブショッピングを盛り上げられます。

多くの潜在顧客にリーチさせる新たな接点として、モール全体がライブコマース活用を提案している点にも注目です。

LIVEBUY

LINEでは、視聴者がリアルタイムで商品を見ながらタップ1つで購入できる「LIVEBUY」を提供していました。視聴者はLINE公式アカウントを通じて通知を受け取り、配信を視聴しながらコメントやリアクションを送れる双方向のコミュニケーションを楽しめます。

決済はLINE Pay等と連携可能だったため、配信から購入までの導線がLINEアプリ内で完結するのも強みでした。

LIVEBUYは2024年7月31日でサービスを終了していますが、LINEの圧倒的なユーザー基盤を活かしながら、EC導線を短縮してエンゲージメントを高める可能性を示しました。

百貨店・商品紹介系の成功事例3選

百貨店や大手メーカーによるライブコマースは、ブランド価値や商品理解・顧客体験の深化を目的として活用されています。成功事例は下記の3企業を紹介します。

・三越伊勢丹
・パナソニック
・東急百貨店

それぞれ詳しく見ていきましょう。

三越伊勢丹

三越伊勢丹は「三越伊勢丹 ライブショッピング」を展開し、バイヤー・スタッフ・話題のゲストが出演する配信をしていました。商品紹介に留まらず、視聴者とのコミュニケーションを通じて百貨店らしい接客体験を再現したのも特徴です。

取り組みの背景には、店舗の接客力をオンラインでも活かしたいという意図があったと考えられます。売上施策だけではなく、顧客との関係性を強化する接点としても効果を発揮したコンテンツです。

よしもと芸人を起用したエンタメ性の高い配信企画でも視聴者数16万人超の反響を得るなど、ライブコンテンツが興味・関心を引き出す仕掛けづくりも行ってきました。

パナソニック

パナソニックは。公式通販サイトでライブ配信を展開しています。出演するのは専門知識を持つスタッフや製品担当者で、商品の機能説明や使い方・導入シーンを実演で示すスタイルが特徴です。

複雑な機能や技術的な疑問に関しては、その場で解決する体験も提供しています。商品の情報提供だけではなく、生活改善のヒントとして活用できる点もユーザーに評価されている要因です。

東急百貨店

東急百貨店は、人気ライバーと連携したライブコマース企画を実施していました。

渋谷ヒカリエ ShinQs 店頭からの配信や閉店後の特別ライブなど、人気ライバーのリアルな体験を交えた商品紹介をしていたのも特徴です。視聴者からのコメントを取り入れた進行で双方向のコミュニケーションも強化しています。

リアル店舗とライブ配信を結び付けたハイブリッド型の設計と位置づけていいでしょう。いずれにしても、人気ライバーを活用した身近で親しみやすいコンテンツの成功例と言えます。

食品・地方産品の成功事例3選

食品・地方産品のカテゴリは、生産背景・産地ストーリー・職人のこだわりも購買理由の主な要素です。成功事例は下記の3企業を紹介します。

・四十萬谷本舗
・かさ舞
・株式会社早和果樹園

それぞれ詳しく見ていきましょう。

四十萬谷本舗

四十萬谷本舗は、石川県金沢市に本店を構える老舗発酵食品メーカーです。伝統的な地元食「かぶら寿し」を中心に、古くからの発酵食品を製造・販売しています。

創業140年以上の歴史を持つ同社は、コロナ禍を契機にライブコマースを積極的に活用して商品理解と販路拡大に取り組みました。老舗の6代目はライブ配信で自ら登場し、製品の魅力や食べ方を語りながら視聴者に伝統食の本質を伝えています。

視聴者とのリアルタイムなやり取りを通じて、品質への信頼感や食文化への理解を深める体験設計です。従来の販路に加えて新しい顧客層へのリーチも実現しています。

かさ舞

かさ舞は、青森県八戸市の地方産品を扱うアンテナショップとして開設されました。ライブ配信では視聴者限定の特典を設け、視聴行動をECでの購入につなげていたのがポイントです。

オンライン視聴者限定の特典は強い特別感を与え、購入行動への心理的ハードルを下げる遠因にもなります。情報提供だけで終わらず、見た人が得をする体験を採用した好例です。

株式会社早和果樹園

和歌山県有田市に拠点を置く早和果樹園は、有田みかんの生産・加工・販売までを一貫して手掛ける企業です。公式Instagramのリールや動画コンテンツを通じて、有田みかんの成長過程や選果、加工方法などを紹介するライブ配信を行っています。

リール動画では生産現場の様子を視覚的に見せているのが特徴です。みかん畑や加工場の裏側などもライブで配信し、生産者のこだわりと商品価値の透明性を訴求しています。産地体験のライブ配信がブランディングにも貢献した好例です。

ライブコマースのメリットとデメリット

ライブコマースは、従来のECサイトにはない「ライブ感」と「双方向性」を兼ね備えた販売手法ですが、導入にあたっては良い側面だけでなく課題となる側面も理解しておく必要があります。

日本企業がライブコマースに取り組む上で知っておくべきメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

ライブコマースのメリット

ライブコマースには、主に次のようなメリットがあります。

・コンバージョン率が高い
・顧客エンゲージメントが向上する
・リピーターを獲得できる
・拡散しやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。

コンバージョン率が高い

ライブコマース最大のメリットは、圧倒的なコンバージョン率の高さです。視聴者の不安と疑問を直接的に解消できるため、視聴者の購買意欲が高まります。

視聴者の疑問に対して配信者が即座に応えれば、実店舗の接客に近い納得感の提供も可能です。購入後のミスマッチを防ぎながら、返品率の低下にもつながります。

顧客エンゲージメントが向上する

ライブ配信は、エンゲージメントの向上においても強力なツールです。

配信者の言葉やリアクションを通じて商品のこだわりを熱量を持って伝えられるため、購入前に体験を共有する感覚を得られます。

静的なページで伝えきれなかった商品の魅力を多角的な視点からアピールできるのもメリットです。

リピーターを獲得できる

親密なコミュニケーションの積み重ねは、中長期的なリピーターの獲得につながります。視聴者は配信を通じて何度もブランドや配信者と顔を合わせるため、親近感や信頼関係が芽生えるのもメリットです。

リアルタイムで自分のコメントに反応してもらえたり、他の視聴者と一緒に盛り上がったりする体験は、視聴者にとって「またこの場所に来たい」と思わせる強い動機付けにもなります。

拡散しやすい

SNSをプラットフォームとしたライブコマースは、情報の拡散性が高めです。視聴者はスマートフォンのシェアボタンを押すだけで友人に知らせたり、自身のSNSアカウントで紹介したりできます。本来のターゲットを超えた広範囲に情報が届くのは大きなメリットです。

ライブ中の盛り上がりや印象的なシーンを短尺動画として切り出せば、リアルタイムで視聴していなかった層にも効率的にアプローチできます。

ユーザー参加型の企画やエンターテインメント性の高い配信を行った場合は、視聴者自身が「誰かに教えたい」という心理になり、爆発的な認知拡大も期待できます。

ライブコマースのデメリット

ライブコマースのデメリットも確認しておきましょう。

・運用負荷とリスク管理
・集客戦略が求められる
・炎上のリスク

それぞれ詳しく見ていきましょう。

運用負荷とリスク管理

ライブコマースには相応の運用負荷とリスクが伴います。事前の準備には多大な時間と労力も必要です。商品の選定や出演者の手配、安定した配信環境の構築まで、クリアすべきハードルは少なくありません。

不測の事態に備えたリハーサルや、緊急事態の対応マニュアル整備など、慎重な配信管理も必要です。リスク管理ができなければ、緊急時にブランドの信頼度を下げる恐れがあります。

安定した配信と運用も不可欠です。通信環境の不具合によって映像が途切れてしまうと視聴者の熱量は一気に冷めるため、重大な機会損失を招きます。

集客戦略が求められる

配信前の仕込みにかかる工数とコストの負担は、覚悟しておく必要があるでしょう。決まった時間に視聴者を集める告知活動も不可欠です。

配信を開始すれば自動的に売れるわけではありません。緻密な集客戦略を求められるのが現実です。魅力的な商品や優れた出演者を揃えても、視聴者がゼロであれば売上にはつながりません。

SNSで予告動画を投稿したり、既存のメルマガで通知を送ったりするなど、多角的なプロモーション活動も必須です。なお、配信時間帯は、ターゲット層のライフスタイルに合わせて慎重に設定する必要があります。

炎上のリスク

リアルタイム配信特有のリスクについても考慮が必要です。編集ができない生放送であるため、出演者の不適切な発言や予期せぬトラブルが、そのままブランドのイメージダウンにつながる恐れがあります。

出演者が意図せず差別的な表現を使ってしまったり、商品の過剰な演出が誇大広告と捉えられたりした場合、が瞬時に拡散され、ブランドの信頼を失墜させる可能性も否定できません。

ライブ中のコメント欄に寄せられる誹謗中傷や、悪意のある質問への配慮も必要です。思わぬ炎上を防ぐためには、出演者へのコンプライアンス教育を徹底するだけでなく、不測の事態が起きた際の対応ルールを事前に定めておく等、高度なリスクマネジメント能力が求められます。

ライブコマースが日本企業に向いている理由

日本企業に向いている具体的な理由は、次の3つです。

・広告よりも信頼されやすい
・購買や問い合わせにつながりやすい
・PRコンテンツとして再利用できる

日本で成功している事例は、売るための戦略ではなく、信頼形成や接点強化を行うPR手法として大きく機能していることがわかります。

ライブコマースは海外発の手法として知られていますが、日本企業のマーケティング文化や顧客行動と相性が良い手法です。

広告よりも信頼されやすい

日本の消費者は広告表現に対して慎重で、企業のメッセージをそのまま受け取らない傾向があります。

一方、ライブコマースでは、商品やサービスを使いながら双方向コミュニケーションを図るため、質問に答える姿勢が情報の信頼性を高める要素になります。編集された動画やバナー広告とは大きく異なる点です。

ライブ配信は誇張や演出が入りにくいため、視聴者は企業の姿勢と誠実さを感じ取りやすくなります。配信では商品のスペックよりも、商品を勧める理由や商品を活用するシーンなどの説明が重視されています。

購買や問い合わせにつながりやすい

ライブコマースは視聴中に疑問を解消できるため、そのまま次の行動に移りやすいというメリットがあります。視聴者は疑問に対する回答を得た直後に購入へと進めるため、検討から行動までの距離が短くなるのも特徴です。

日本では購入前に細かい確認をする消費者が多く、ライブ配信のリアルタイム性が行動特性に合致しています。ライブ配信後に来店予約や問い合わせが増加するケースも少なくありません。

いずれにしても、ライブコマースが決断を後押しする接点になっているのは間違いないでしょう。

PRコンテンツとして再利用できる

配信後は、複数のPRコンテンツとして再利用できます。配信アーカイブを公式サイトやECページ、SNSなどに転用すれば、長期的な情報資産としての活用も可能です。

成功している企業はライブ配信を単発施策で終わらせず、PR・広報・営業支援・カスタマーサポートのコンテンツとして横断的に活用しています。日本企業に多い高関与&高検討型の購買プロセスとの相性も悪くありません。

即売に向かない商材でも中間成果を生み出せるため、短期的な効果だけでなく、継続的な顧客接点を生む仕組みに発展します。

ライブコマース成功事例に共通するポイント

成功事例を業界横断で見ると、成果を出している企業には共通しているポイントがあります。

・売り込みではなく理解促進を重視
・ライブコマーサーの質が高い
・改善前提で運用している

それぞれ詳しく見ていきましょう。

売り込みではなく理解促進を重視

成功している企業は商品の販売ではなく「商品の理解促進」を重視してライブ配信をしています。必要性と活用方法を丁寧に伝えているのもポイントです。

配信は視聴者の安心材料となり、結果的に購買や問い合わせにつながります。配信後の行動変化を重視しなければライブ配信は成功しません。

ライブコマーサーの質が高い

ライブコマースの成否は、配信に出演するライブコマーサーの質にも大きく左右されます。親しみやすい雰囲気を作り出せるライブコマ―サーの登用も不可欠です。

視聴者は信頼できる人から商品を購入したいと考えるため、ライブコマーサーの人柄や誠実さが購買意欲に直結します。

成功事例ではインフルエンサー任せではなく、商品を熟知したスタッフや生産者が出演しているケースも目立ちます。

改善前提で運用している

ライブコマースを成功させている企業は、最初から完成形を目指していません。配信後の視聴データや質問の傾向などを分析して、配信の内容を改善し続けています。

改善前提の運用をしなければ、継続的に価値を生むコンテンツにはなりません。ライブコマースに成功している企業ほど小規模な配信を繰り返しながらノウハウを蓄積し、徐々に質を高めている傾向があります。

失敗を恐れず新しい試みにチャレンジする姿勢も大切です。異なるテーマでの配信や、他ブランドとのコラボレーション、視聴者参加型の企画など、さまざまな手法を試しながら最適な形を探る必要があります。継続的な改善サイクルは、ライブコマースの成功を支える基盤です。

ライブコマースの始め方

ライブコマースは特別な設備や大規模投資がなくても始められます。

ただし、目的と基準を決めずに始めると失敗する可能性が高まるので注意が必要です。失敗を防ぐためにも、ステップ形式で始め方を確認しておきましょう。

1.目的を明確にする
2.KPIと成功基準を事前に設定する
3.スモールスタートで検証する

それぞれ詳しく解説します。

1.目的を明確にする

ライブコマースは目的によって配信内容が変わる施策です。視聴者に期待する行動が異なれば、必要な情報量と配信時間も変わります。

たとえば、新商品の認知を広げたい場合、重要なのは理解の深さよりも興味のきっかけです。配信は短時間でテンポよく進め、出演者も親しみやすさを重視した構成が向いています。

一方、既存商品の理解を深めたい場合は、他賞品との比較やQ&Aなどの情報提供が必要です。配信時間は長めになるので、商品を熟知した担当者の出演が適しているでしょう。

視聴者の心理段階も異なってくるため、目的を明確にしないまま配信しても売上には直結しません。配信前には必ず目的を定義しましょう。

2.KPIと成功基準を事前に設定する

配信を見てから検討し、後日行動する視聴者も少なくありません。そのため、成果を売上だけで測ると初期施策は失敗に見えてしまいます。このような失敗を避けるためには「KPI(重要業績評価指標)」の設定が不可欠です。

認知目的のKPIであれば、同時視聴数やアーカイブ再生数、視聴維持率などが考えられます。理解促進目的のKPIは、コメント数や質問数、視聴時間などが妥当でしょう。

KPIを決めたら、配信前に具体的な成功基準を数字で決めておきます。数字の基準が無ければ配信後に成果を説明できないので注意が必要です。

配信後は基準をもとに成功・失敗の要因を分析して次回の設計に反映します。成功基準の事前決定は、安定した配信の継続にも役立つでしょう。

3.スモールスタートで検証する

ライブコマースは最初から完成形を作れない施策です。視聴者の興味や離脱ポイント、質問内容は配信してみないとわかりません。しかし、多くの企業は最初から完璧な配信を目指しているため、時間とコストをかけても失敗しています。

成功している企業は10〜30分程度の短い配信を何度も行い、視聴者の反応を見ながら内容を修正しています。

スモールスタートの目的はコストの抑制ではありません。視聴者の本音を正しく探り、次の配信に活かすための施策です。配信と改善の繰り返しはライブコマースの質を高めるためにも欠かせません。

ライブコマースの配信方法

代表的な配信方法は次の3つです。

・SNS
・自社EC
・ECモール

それぞれ詳しく解説します。

SNS

SNSは身近で手軽に始められる配信方法です。Instagramの「インスタライブ」やTikTokの「TikTok LIVE」、YouTubeといったプラットフォームは膨大なユーザー数を抱えているため、集客のハードルが低いという特徴もあります。

フォロワーに直接アプローチできるSNSはコミュニケーションを取りやすく、熱量の高いコミュニティを形成できるのもメリットです。ただし、視聴時間が短いので深い説明には向いていません。SNS配信は商品の魅力を伝える入口として使い、詳しい説明や購入は別の場所に誘導する設計が効果的です。

決済機能が完全に統合されていないケースも多いため、視聴者を外部の販売サイトへ誘導する際に離脱が生じるリスクもあります。

それでも、スマートフォンのカメラひとつで配信を開始できる機動力と拡散性の高さは魅力です。新商品の認知拡大とブランドのファン化においてもSNS配信は強力な武器になるでしょう。

自社EC

自社ECサイト内にライブ配信機能を組み込む方法です。ブランドの世界観を崩さずに没入感を提供できます。

専用のツールを導入すれば、配信画面上に表示された商品アイコンのタップで購入ページに遷移することも可能です。シームレスな購買体験はコンバージョン率が高くなります。

顧客データや視聴データは直接取得して分析できるため、マーケティング戦略を改善したい企業にも理想的な選択肢です。ただし、自社ECを活用する場合は集客力が必要なります。中小企業は他の選択肢を選択したほうが有意義になる可能性もあるので慎重に検討しましょう。

一定の会員数を抱えているブランドや、特定のファン層を大切にしたいD2Cブランドであれば、自社ECが信頼性と自由度の高い配信方法になります。

ECモール

Amazonや楽天市場などの大手ECモールが提供するライブ配信機能です。大型ショッピングモールの中央広場で実演販売を行うようなイメージになります。

モール自体に強大な集客力があるため、潜在顧客に発見されるチャンが広がります。購入に対する心理的ハードルが低いのも特徴です。

手数料体系や配信ルールなどの制約はありますが、短期的に売上を伸ばしたい場合は効率的な選択肢になるでしょう。モール内のセールイベントと連動させて爆発的なトラフィックを狙いたい場合も強力なプラットフォームになります。

ただし、モール内には多くの競合他社が存在するため、視聴者の目を引く企画力とモールの検索アルゴリズムを意識した対策は必要です。

ライブコマースを成功さぜるなら外注がおすすめ

専門の制作会社や代行業者に依頼すれば、手間を省く以上の価値があります。

ライブコマースを自社完結で作成する場合、企画の立案から機材の設営、配信後の分析までに膨大なリソースが必要です。視聴者を飽きさせない台本作りや、安定した配信環境の構築も容易ではありません。

しかし、専門的な業者に依頼すれば配信のクオリティが飛躍的に向上します。視聴者の離脱タイミングや、購買意欲が高まるポイントなどのノウハウも蓄積しているため、売上につなげる配信設計をしてくれるのも魅力です。

高品質なキャスティングも見逃せません。ライブコマースの成否は配信者のスキルに左右されますが、自社スタッフだけでは表現力と集客力に限界があります。

外注を活用すれば、商品のターゲット層にマッチしたインフルエンサーや、ライブ販売に特化したコマーサーのアサインが可能です。彼らは双方向のコミュニケーションを得意としているため、ファンを増やす的確なきっかけを作ってくれます。

配信後のデータ分析と改善も外注がおすすめです。同時接続数やコメントの内容、カート投入率といった複雑なデータを専門的視点で分析し、次回の配信に向けた改善策を提示してくれます。

ライブコマース外注先の選び方

ライブコマース市場の拡大に伴い代行会社の数も増えています。ただし、得意とする領域や提供されるサービスの質はさまざまです。配信で失敗しないためにも、専門性を持ったパートナーを見極める必要があります。

・実績を確認する
・対応範囲をチェックする
・ライブコマーサーのキャスティング力を見る

それぞれ詳しく解説します。

実績を確認する

具体的な実績の確認は不可欠です。配信数だけでなく、自社と同じ業界や類似の商品カテゴリーで成功事例があるかどうかも重要な判断ポイントになります。

たとえば、アパレルと家電では、視聴者が求める情報も購買に至る動機も全く異なります。画一的な施策の展開は無意味です。しかし、業界特有の勝ち筋を熟知している業者なら、精度の高い企画提案が期待できます。

数字の面でき最大同時接続数といった表面的なデータでなく、コンバージョン率や売上実績を公開しているかどうかをチェックしてください。

ライブコマースの本質は販売です。視聴者を楽しませるだけでなく、しっかりと数字を残せる実力を過去の事例から読み取る必要があります。

対応範囲をチェックする

外注先によって請け負ってくれる業務の範囲は異なります。ミスマッチを防ぐためにも、社内リソースとプロに任せたい範囲は事前に整理しておきましょう。

企画立案から台本作成、当日の配信オペレーション、スタジオの手配、配信後のデータ分析までを網羅するフルサポート型もあれば、特定の技術提供のみを行う会社もあります。

特に注意したいのが、配信当日のトラブル対応や、PDCAサイクルへの関与度合いです。ライブ配信にはトラブルが付き物ですが、それらを現場で即座にコントロールできる体制が整っているかどうかは確認しておきましょう。

配信後はデータを分析し、次回の改善に向けた具体的なフィードバックをくれる業者が理想です。

ライブコマーサーのキャスティング力を見る

優れた外注先は有名なインフルエンサーをアサインするだけでなく、商品の特性やブランドの世界観に合致し、販売スキルの高いライブコマーサーを提案します。

ライブコマースの「顔」となる配信者の選定は、番組のクオリティを決定づけると言っても過言ではありません。ただし、フォロワー数が多いからといって、必ずしも商品が売れるわけではありません。

キャスティング力を見極める際は、その会社が提携している配信者の層や、過去にどのような基準で配信者を選定したかを確認してみましょう。視聴者の質問にリアルタイムで的確に答え、購買意欲を自然に高めていけるレベル高いライブコマ―サーの有無は、外注先を選ぶ際の大きな判断基準となります。

まとめ

ライブコマースは、売上を伸ばすための新しい手法ではありません。企業と顧客の間に理解と信頼をつくるためのマーケティング手法です。

成功の鍵は、配信の上手さではなく設計にあります。日本の成功事例が示しているのは、売り込みではなく説明を重ねた企業ほど成果を出しているという事実です。

目的を決めてKPIを設定し、小さく始めて改善を繰り返しています。この基本を守るだけでも、ライブコマースは一過性の企画ではなく、継続的に価値を生む接点になるでしょう。

日本の成功事例が示しているのは、売り込みではなく説明を重ねた企業ほど成果を出しているという事実です。最初から完璧な配信ができる企業はありません。重要なのは、視聴者の反応を学習して次の配信に反映する姿勢です。

今回紹介した事例や考え方を参考に、自社に合った形のライブコマースを検討してみてください。